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昭和5年(1930)
紙本墨画・軸
157.3×76.9 ㎝
第11回帝展出品作の下絵。
明治を代表する名落語家・三遊亭圓朝は、幕末に芝居噺で人気を博したのちに「真景累ヶ淵」や「怪談牡丹燈籠」などの創作人情噺で名を馳せました。清方の父・條野採菊とは17歳頃から交流を深め、明治19年(1886)に採菊が「やまと新聞」を創刊すると、圓朝の人情噺を速記により掲載して同紙の呼び物としました。紙面の準備のために、圓朝の高座が清方の自宅で設けられることもありました。その時の圓朝の俤を思い起こし、描いたのが本作で、弟子の西田青坡に正座の姿勢を取らせて写しました。描き込まれた調度品は清方の自宅にある身近なものを用いています。
この作品をきっかけに清方は肖像画の制作に意欲的に取り組んでいきました。