収蔵品データベース

妓女像ぎじょぞう

昭和9年(1934)

紙本墨画淡彩・軸(双幅)

(右幅)157.2×81.6 ㎝
(左幅)157.0×80.3 ㎝

第15回帝国美術院美術展覧会への出品作の下絵です。日本橋の音喜久の芸妓、小菊と春枝がモデルをつとめました。鼻筋、丸い鼻先、小鼻の形など、顔は写実的に念入りに描かれ、左幅では撥を持つ左手の位置が修正されています。下絵にはいずれも右下に「昭和九、九、一一」と記され、朱文方印「清方」の印章が押されています。新たな試みとしてモデルの写真撮影もおこなったようです。この下絵とは別に未定稿もあり、下絵の線描を忠実に写しています。また、未定稿ではえんぶた(和紙を使ったマスキング)の技法が用いられています。本画は残念ながら戦火で焼失してしまいました。


Portrait of Geisha (1934)
ink and pale color on paper; pair of hanging scroll
right 157.2 x 81.6 cm
left 157.0 x 80.3 cm