収蔵品データベース

色暦いろごよみ

明治43年(1910)

石版口絵

27.8×18.5cm

泉鏡花著「色暦」『新小説』第15年第10巻 口絵

泉鏡花の「色暦」は、鏡花が一時期暮らしていた神奈川県逗子周辺を舞台にした小説です。ある晩、酒に酔った伊之助は、線路沿いの土手に通りかかったところで、「二階家のお嬢さん」に出会います。お嬢さんに頼まれて空き地の土をシャベルで取り除くと姫島の女神が咲かせたという花畑が現れ、恍惚とした伊之助は貨物汽車にひかれそうになります。近くの弁財天堂の和尚によると、お嬢さんはこの夏の初め、花畑が埋められると知り忍び込んだところを金貸しの妻とその仲間に追い詰められて汽車にひかれたのだといいます。和尚と伊之助はお嬢さんの仇を討つため金貸しの家に向かいます。
清方は、伊之助が鎧武者姿の和尚を背負い、金貸しの屋根へと上る場面を描きました。