収蔵品データベース

伊勢之巻いせのまき

明治36年(1903)

石版口絵

17.9×11.3cm

泉鏡花著「伊勢之卷」『新小説』第8年第6巻 口絵

泉鏡花の「伊勢之巻」は、旧正月の前夜、賑わう伊勢が舞台です。岐阜の名医の妻、里見夫人が泊まる宿を、道ならぬ恋のために訪ねた立花。夫人の部屋と襖で隔てられた物置部屋に隠れていましたが、暗闇の中に現れた女童(めのわらわ)に導かれ幻の世界に迷い込みます。そこでかつて思いを寄せていた佳人に諫められ、現実世界に戻った立花はそのまま宿を後にしました。
清方は、幻の道へと立花を導いた二人の女童の姿を描きました。二人は「其の面(おもて)銀の如く、四方恰も漆の如き」将棋盤を抱えています。幻の世界で立花は、この将棋盤をはさみ初恋の人と言葉を交わすことになります。