収蔵品データベース

蟹と童かにとわらべ

昭和19年(1944)

紙本墨画・額

72.2×85.6 cm

東京帝室博物館表慶館で開催された芸術院会員陸軍献納展への出品作、いわゆる献納画の下絵です。清方は同展に《秋草》と題する作品も出品しています。下絵では、稚児の足元と蟹の部分を描き直している様子が伺えます。蟹の左上に描かれた植物には紙が貼られています。この部分は本画では描かれておらず、蟹と戯れる稚児との対比が強調されています。稚児の装束等は桃山前期頃の風俗を参考に描かれており、国宝《高雄観楓図》(屏風)に描かれた稚児との関係も指摘されています。本作品は疎開先の茅ヶ崎で描かれたことが知られています。