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昭和24年(1949)
20.4×14.5cm
『苦樂』第4巻第2号 表紙
雑誌『苦楽』は戦後間もなく作家の大佛次郎(1897~1973)が主宰して発行した雑誌です。清方は表紙絵のほか、「名作絵物語」の挿絵を描くなどして関わりました。
昭和24年2月発行号の表紙で清方は、泉鏡花著『註文帳』から紅梅屋敷と呼ばれる二上屋の寮に住まうお若を描きました。「濃いお納戸地に柳立涌の、小紋縮緬の羽織を着て」と鏡花が書いた通りの姿です。
「註文帳」は吉原を舞台にした過去の心中事件の因縁がひきおこした悲劇の物語で、卓上芸術を代表する作品のひとつに、13の場面からなる《註文帖》(昭和2年・当館蔵)があります。