収蔵品データベース

高野聖(『苦楽』表紙)こうやひじり くらくひょうし

昭和24年(1949)

20.4×14.5cm

『苦楽』第4巻第8号 表紙

清方は、大佛次郎の主宰した雑誌『苦楽』の装丁を、昭和21年(1946)から24年(1949)まで手がけました。泉鏡花の小説「高野聖」に取材した本作は、清方が『苦楽』に描いた最後の表紙絵です。清方は青年期に一部暗唱できるほど「高野聖」を愛読し、晩年まで繰り返し絵に描きました。旅の僧を招き入れた美女が、川の水で僧の身体を清めるために、自らも髪を解き肌脱ぎになる様子を表しています。清方は背景に、人間を馬に変えてしまう美女の妖力を表徴するように馬の影を配し、物語の中に登場した鮮やかな紫陽花を女性の周囲に描きました。