収蔵品データベース

雪暮入谷畦道の一「三千歳」ゆきのゆうべいりやのあぜみちのいち「みちとせ」

昭和9年(1934)

紙本墨画・軸

111.2×23.7 cm

日本橋三越で開催された鏑木清方個展「芝居絵」に出品された三幅対《入谷の寮(雪夕入谷畦道)》の下絵。芝居を題材にした個展の開催にあたり、清方は脚本を自身で演出することを想像しながら手がけたといいます。また三人の主な役どころで三幅対を作ることにも興味を寄せ、《本朝廿四孝》や《おかる三態》など本作以外にも制作しました。
河竹黙阿弥の名作「雪暮夜入谷畦道」(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)は、元の外題を「天衣粉上野初花」(くもにまごううえののはつはな)といい、明治14年(1881)に新富座で初上演されました。入谷の蕎麦屋でお尋ね者の御家人・片岡直次郎は病気の恋人・三千歳を治癒する按摩の丈賀と出会い、手紙を託します。入谷の大口屋寮で二人は再会しますが、直次郎は三千歳に別れを切り出します。