収蔵品データベース

無憂樹むゆうじゅ

明治39年(1906)

木版口絵

27.2×22.0cm

泉鏡花著『無憂樹』 口絵

物語の舞台は伊勢。打金匠、俵平兵衛兼長(たわらへいべえかねなが)の作った千鳥の香合を巡る騒動が起き、窮地に陥った兼長の一家を救うために、扇屋のお扇(お襟)が命を絶ちます。
この口絵で清方は、もう一人のヒロイン、旅籠津田屋の娘お米を描きました。千鳥の香合を兼長の息子兼次に渡そうと決意するお米と、お扇からの遺書を読むお米、時間の異なる二つの場面を描きました。二つの場面を区切る屛風の落款の位置に自身の落款を配する工夫を見ることができます。