収蔵品データベース

神鑿しんさく

明治42年(1909)

木版口絵

30.2×22.1cm

泉鏡花著『神鑿』 口絵

物語の舞台は飛騨の山中にある温泉町。彫刻家の香村雪枝は新妻のお浦とともに飛騨を訪れていましたが、ある晩お浦が姿を消します。雪枝は妻の身代わりに美しい女の木像を天守の主人(あるじ)に捧げるものの突き返されてしまいます。困り果てた雪枝は、地元の木彫職人菊松と共に天然の双六盤があるという秘境、双六谷へと向かいます。
清方が描いた場面は、物語の山場、人さし指を天に向け天守の主人の言葉を聞き伝える坊主と、雪枝に代わって双六の勝負をする美女(たおやめ)、それを見守る雪枝と菊松の姿です。大きな双六盤の巌の上には双六の駒である菫とタンポポが並べられています。